残されたフィルム
久しぶりだなオイ!
気づけば写真を撮ってない日が続いている。この変化は一体何だろうと思いつつもそれに気づかないフリをして過ごしていた。
インスタすらも見ない日々。
SNS狂いの毒舌イコンタ同盟は、ついに写真に飽きたのか?
今日はそんな俺のファン達に送ろう。
SNSの本来の使い方、付き合い方なんてもんはもはや存在せず、誰でも自由に投稿したらいいと思う。
個人が楽しむためのスペースだ。それに生き甲斐を感じようと暇潰しだろうと他人が口出しするべきではないし、全力シカトでオッケー。
裏垢だろうとエロ垢だろうと病み垢だろうと詐欺垢だろうと、自由にやりゃいいんだ。
グッドラック、SNSの住人達。
写真から離れて何をしていたかというと、株式投資だ。
パソコン3台くらい並べて、株の値動きをリアルタイムで監視して数秒単位で売買をして、たった数日で数百万、数千万の儲けを出すアレ
ではない。
今仕込んでおけば、数日後、数ヶ月後、何倍ものリターンを期待できるやつに投資するアレ
でもない。
まぁいい。配当金をもらい続けて俺は10年後にはセミリタイア。20年後にはリタイアするのだ。つまり、目指すはFIREだ。
炎?違う。ググってくれ。
どこに投資すべきか吟味していた。
情報に踊らされては売り買いを繰り返すような芯のない投資スタイルでは、疲れてしまうし、日々株価を観察して自分のポートフォリオの損益に一喜一憂してたら精神崩壊する。
個別株とETFを買い続け、どっしり構えて放置。配当金を再投資する王道スタイル。ほんのひと握りの人間にしか分からない優良企業なんてもんが俺みたいなど素人に発掘できる訳がないし、細かな企業分析なんて理解できるはずもない。
まぁ、ゼニの話はこれくらいにしておこう。
現在、私は金の亡者だ。
なんとなく、撮る気にはなれない。
撮りたいと思う瞬間はあるけど、手元にカメラを持っていない。ん?
てゆーかiPhoneでよくね?
まさに今この心境。
方法にこだわっていたけど、結局目的は写真を撮ることであって、フィルムカメラを使うことが目的ではないのだ。
いやいや、そうは言ってもフィルムカメラが好きで、フィルムカメラで撮ることに意義を感じていたし、使命感すらあった。
やはり、フィルムカメラで写真を撮ることが目的だった。
俺の悪いクセは、数年間は狂ったように没頭し、ある日突然、熱が冷めてしまう。ゆるやかに情熱は蒸発していく。
これに気づき謎の危機感を覚えても、それは一瞬たけで、
まぁ、いいかな
そんなもんかな。無理に撮っても楽しくねぇし
誰かに期待されてるわけじゃねぇし
別に義務でもねぇし
写真撮らなくても生きていけるし
まぁ、所詮その程度の人間なのである。
自分でも呆れるほどの飽き性だ。
しかし
もう一度、カメラを手に取り、フィルムを装填し巻き上げてみようと思う。
もはや何のためなのか誰のためなのか自分のためなのか何も分からない。
ただただ記録と消費を無限に繰り返していけば、何かしらの達成感が得られるはずだと信じている。
天才とは、とてつもなく困難なことをいとも簡単にできてしまう人のことではなく、
誰でも簡単にできることを、途方もない数をやってのける人のことだ。
たぶん。
俺が死んだ後に残された膨大な数のフィルム。
誰かが発見して、現像して、俺が生きた時代と俺が写した時代の断片を見ることになるだろう。
そして彼は手を震わせて言うのだ。
「無名の天才がいた」
カッコいいだろ?