人間図鑑
以前、インスタでサラッと告知した11月のイベントに向けて準備をすすめている。
準備、といっても何かカメラやレンズを買い足したり、フィルムを爆買いしている訳ではない。
イメージトレーニングだ。
え
カメラは、何を使うか。何で撮るか。
これは、写真を撮られる側や写真を見る側にとっては、ほとんどどうでもいいことではある。
だが、写真を撮る側にとってはとても重要な事柄だと思っている。
俺は、ロマンチストであるから、イコンタかライカとエルマーで撮りたい。
しかし、今回は、人様に依頼された撮影である。
ロマンだけでシャッターを切って、ろくにまともな写真が撮れなかったらどうなる。
これだけ写真とは何か、を散々語っておいて、できた写真はソレかよ!その程度かよ!
では話にならん。
期待してくれている依頼者に、期待以上の写真を見せるのが、最低ラインだと思っている。
てことで、まともな思考で普通に選ぶとすれば、ニコンFである。
レンズだってf1.4のNikkorがある。135mmだってある。なんならズームレンズを買い足してもいい。
今までFにトラブルはないし、頑丈そのものである。一番信頼できるカメラだと言っていい。
実用一点張り。質実剛健。
しかしだね。
重いしデカイ。シャッター音は大きい。(一眼レフカメラの中では静かな方だとは思う)
そう考えると、やはり出番はない。
ここでようやく出番が来たのは
コニカSⅡ
レンズシャッターHEXANON48mm f2.0のレンジファインダーカメラ。
見た目は、不細工だ。
レンジファインダーカメラとしては大柄だが、シャッター音は小さい。
ファインダーはとても見やすく、ブライトフレームもクッキリ見える。
撮られる側からしたら、
そんなので撮るの…?なんて思われそう。
なんだろ。
一眼レフってカメラに興味ない人からも、やっぱり認知度が高くて、これを使っていると撮られる側も安心感が高そうなイメージ。ちゃんとしたカメラ。
デカいシャッター音も、わぁ、一眼レフだ、本格的…なんて言われたことがある。
世間のイメージなんて、たぶんそんなもんだろう。実際にFはプロ用一眼レフだしなぁ。
撮影の要望としては、
フラッシュは使わない
出演者を撮る
これだけ。
俺はカメラマンではない。
自由にやらせてもらう。
とりあえず出演者はサラッと撮っておいて。 (おい)
会場に集まったお客さんを撮りたい。
夜の群衆を撮りたい。
暇そうに、つまらなさそうに持て余している瞬間の客を撮りたい。
居心地が悪そうに端っこに座って酒を飲む人を撮りたい。
薄暗い便所で立ち話をする人を撮りたい。
なんでもない瞬間を撮りたい。
バーカウンターに置いてある飲みかけの洒落たカクテルになんぞ興味はない。
人間が写っている写真ほど、強いと感じるのだ。
撮影者の意図や意思など、写真を見る側には視えない。
視えるのは、複写され平面化された写真だけだ。
フィルムかデジタルかなんて、どちらでも良いのである。
俺は小さな意図や意思や叫びや祈りや何かを、密かに誰にも気づかれないように写真に忍ばせる。