イコンタ同盟

This is love.

暗室からの手紙

 

インスタグラムや、はてなブログのおかげでフィルムカメラ愛好家との交流が始まった。

 

インターネットって素晴らしい。

 

こんなにフィルムカメラや写真が好きな人がたくさんいる。

一部では長期的なブームなのかも知れない。

いいさ。

冷やかしのつもりが本気になってのめり込むなんてよくある話だ。

 

たまに見かけるハッシュタグ

 

film is not dead.

 

フィルム文化は終わっちゃいないぜ。フィルム写真の素晴らしさをもう一度広めて、盛り上げようぜ!

的な。

 

さぁ、どうかな。

一度便利さを知ってしまったサルは、もう後ろなど見ようとしない。

 

今さらガラケーには戻れんだろ?

 

フィルムはデジタルに完全に駆逐された。

 

死にかけ、瀕死だ。

 

film is dead.

それでもいいさ。

 

ただし、それはデジタルに完全に移行してしまった人にとっては だ。

 

Film is not dead.

なーに言ってやがるんだ。当たり前だそんなこと。

今さらわざわざ文字にしてまで言うことじゃないだろ?分かりきったことだ。

我々が使っているのは、SDカードみたいな安っぽい薄っぺらい記録媒体なんかじゃない。ヤツらには理解できない、贅沢な遊びを本気でやってるのさ。

 

フィルムの箱を開けるとき、フィルムケースを開けるとき。パトローネのロゴ。フィルムの匂い。装填するときの感触。

巻き上げの音。

デジタルには、到底マネできない。

いつの時代も、どこの国でも、マイノリティは屈強だ。

アンダーグラウンドマイノリティのみぞ知る喜びがあるってのも確かである。

 

昼間はファインダーを覗き、狙い澄まして静かに、時に荒々しくシャッターを切る。

夜になれば、撮影済みのフィルムをリールに巻き、薬品のニオイの中で現像する。タンクを攪拌する。手を汚す。

また別の夜、赤い静かな暗闇の中、光と陰を、印画紙に焼き付ける。

たまには夜の街に出てカメラをポケットに忍ばせ、暗躍することもあるだろう。

この上ない緊張感と悦びと味わえるのは、私たちだけである。

 

フィルム写真は、暗室の手記である。

それは、誰かに向けた手紙かも知れない。誰にも見せることのない独白かも知れない。

 

一部では盛り上がりを見せるフィルムカメラ。ところが、一方では、実際に知り合いでフィルムカメラを使う人を私は知らない。知り合いでなくても、使っている人を見たことがない。

 

 

 

はてな

 

ネットの中の世界は、画面の中の世界は、やはり虚像か、幻か…

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時々思う。

 

もしかしたら今、見ている、感じている世界は、本当は存在すらしないのか?

 

果たして、「この感覚」を感じているのは世界に私一人だけなのか。

超リアルな仮想現実を35年間、宇宙でたった一人で体験しているのではないか。

 

マトリックス的な。いや違うなー。

 

サルトルの『嘔吐』、アントワーヌ・ロカンタンみたいな感覚。

この感覚がずーっと続くと、乖離性なんとかっていう精神疾患らしい。まいっか。

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話が逸れすぎた。

なんだっけ。

 

 

フィルムカメラを使っている人を見たことがない   でした。

 

 

なーんて思っていた今日、ついに発見した!

 

なぜフィルムカメラだと分かるのか?

 

おそらく同年代の女性。車を運転しているときに見かけた。

 

首から下げていたのはローライフレックス…!

 

いや、ローライなのかどうかさえ分かるわけないが、とにかく二眼レフカメラだった。

デジタル二眼レフカメラなんてもんがあるのかは知らん。

 

車を脇道に停めて、全力でその人のもとへ駆け寄って、

「あのー、すいません突然。ぼ、僕もフィルムカメラ好きなんです!あの、イコンタって分かりますか?中判のカメラ使ってます。あとライカも使ってます、バルナックです!最近、自家現像も始めました!プリントも今、もう始めようかというところなんです〜。モノクロで撮るのが好きです。あの、突然でアレなんですが、お友達になってもらえませんか?あ、お名前は…?僕はロイというものです!」

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なんて突然言おうものならば、変人扱いされて大声で叫ばれるか、もしくは、いきなり親友になれるかもしれない。

 

デジカメぶら下げてる人には、まったく興味も湧かないんだけどなぁ。

 

 

今度会ったら、思い切って声をかけてみようかしら。