ライカというカメラ
ライカを使い始めて、1年が経った。
今日は、ライカというカメラについて書いてみたい。
ブログタイトルが「イコンタ同盟」 なのに、だ。
私のカメラ歴=写真歴は、たかだか知れている。今、3年目。フィルムカメラで撮り始めて、一年後にはライカを買うに至っている。
それまでは、Nikon Fを使っていた。
重厚な金属の質感、ムダのない角ばった、「カメラ然」としたデザイン。
頑丈でいて壊れる気がしない機械。
これぞまさに質実剛健。
世界に誇るMADE IN JAPAN
共に使用する古いNikkorレンズ。
描写、使用感、その全てに満足していた。
中でも、Nikkor H Auto 50mm F2は軽量、コンパクトなレンズで、今でも気に入っている。「ここぞ」という場面で使いたくなるレンズである。
Nikon Fは、それまで日本光学が製造していたレンジファインダーカメラであるNikon Sを改良して、ミラーボックスとペンタプリズムを付け加えた作りである。(間違ってたらごめんなさい)
そのため、慣れてしまえば気にならないが、シャッターボタンの位置もおかしい。これは後のF2で改良されている。
とはいえ、人間工学を取り入れたデザインとやらよりは、遥かにカッコいい。
話が逸れてしまった。
なぜライカなのか。
「ライカ」といえば、金持ちの趣味、道楽カメラ。ライカ使ってる奴は気取ってそう。海外の高級ブランド品。自慢するためだけに持つカメラ。
そんなイメージがあった。どうせ名前だけ。
日本の古い工業製品を愛用していた私は、そんな理由から、敬遠していた。
ライカを愛用する人、自慢する人のブログを何度か見たりしたが、ウンチクばかりで、正直つまらなかった。
レンジファインダー式であることの利点も、まったく理解できなかった。
一眼レフカメラは、ファインダーを見た映像がそのまま写真になる。
手動でピント合わせするのも楽しかった。広角から超望遠までカバーできる一眼レフの方が、道具として優れている。
ズームレンズだってある。(今は単焦点レンズしか持っていない)
それに、なんかプロのカメラマンぽくてカッコいいじゃないか。
しかし、とあるブログの記事に出会ってしまった。
「そろそろライカを買わないか?」
その人は色んなカメラを使っている。
デジカメからフィルムまで。
ハッセルやローライ、ブロニカ、コンタックス、そして、ライカ。
その記事にやられてしまった。
それからというもの、ライカ熱、ライカ夢にうなされ、眠れない日々が続いた。
その苦しみから解放されたくて、ついにライカを買ってしまった。
選んだのはLeica Ⅲa
普通ならライカといえばM型である。
普通…?
普通って、なに?ねぇ。
Ⅲaの、いわゆるバルナック型のルックスと歴史にも惹かれた。
「バルナック型はライカの始祖であり、この時代に、すでにライカは完成されている。コンパクトなバルナック型こそライカであると感じることがある」とは、名言である。
後にElmar5cm F3.5と純正フード、VIDOMファインダーを買い揃える。
50mmレンズしか持ってないのに、外付けファインダーはいらないなんて
カッコいいから付けている。
ライカといえば、静かなシャッター音を想像する人が多いと思う。
コトリ…とか、チャッ…とか。
しかしそれは、M型の話である。
バルナック型は、少なくとも私のⅢaは、シュタンッ!である。僅かに手に伝わる振動というか、反動が、気持ちいい。
巻き上げもノブ式。巻き戻しもノブ式。
エルマーの小さい前玉は、ほんとにこんなので写っているのか不安だった。
開放値3.5というのも、暗い。
しかし、写る。
80年も前に作られたこのレンズで。
ピント合わせも、思っていたよりも、簡単。二重像を合わせるだけ。
最近は、ピント合わせするのが面倒に感じて、パンフォーカスで撮ることが多い。最大F18まで絞れば撮れる。
絞り過ぎると、そのレンズの味が出せないとか言われているが、そんなことはあまり気にしない。
そのレンズ特有の描写、味は、写真やカメラを趣味とする者の楽しみのひとつではあるのだが。
コーティングの有無、ボケ味、シリアルナンバー、年代による細かな違い…
写真を見てレンズを語るのはもういい。
写真の話をしよう。
いつ、どこで、何を、誰を撮ったのか。自分にとって、それが一番大事だ。
家族や友人、恋人、大切な人と一緒に写真を見よう。
写したもの、写ったもの。
それと、写真には写らなかった、そのときの気持ちや思い出を語ろう。
そうして初めて、私の写真が、あなたの写真が完成する。
言い過ぎかなぁ。言い過ぎだな。
どうしても開放でなくては撮れない場合は仕方なくピント合わせしている。が、やはり面倒に感じて、目測で撮るときもある。
フィルムの装填も面倒だが、慣れてしまえば問題ない。儀式だと思えばいい。
そもそも、不便さや面倒くささに耐えられない人間は、フィルムカメラなんて使わないだろう。
撮っていて不便さはほとんど感じない。
コンパクトだし、片手にストラップをグルグル巻き付けて、ブラブラぶら下げて歩いている。
ふらっと散歩に出るときに、でかいデジタル一眼レフを持っていたら疲れるだろう。そういうカメラは、気合いと目的がないと、つらい。例えば結婚式とか。
いいな、と思ったものをサッと撮るには、やはり小型カメラがいい。
多くの人が口を揃えて言っているが、やはりライカはとても実用に優れたカメラだと思う。レンジファインダーカメラと一眼レフカメラ、どちらが優れているかなんてない。一長一短である。
ネット上の評価なんて、所詮は、この小さな画面の中の世界のことにすぎない。あなたの視野はもっと広いし、心や思想は誰にも縛ることはできない。
決めるのは己自身である。
Leicaの刻印は自分にしか見えない。
撮影者本人に対して正位置。他人に見せるためのロゴではない。たぶん。